新人声優の落書き

声優の玉子である私の落書き集。基本声優以外のことばかり書きます。

海辺のレストラン:前編

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暖かな風が肌を撫でる。
うみねこが鳴きながら空を飛んでいる。
少し歩くと、静かな波の音がする穏やかな海が見えてきた。


エメラルドブルーの色が透き通っていて、年甲斐もなく駆け出したくなる。心が躍る。
白い砂浜に足をとられながらも、弾んだ心で自然と歩みも早くなる。
ウェッジソールのサンダルを脱ぎ捨て、足を海に入れてみる。
冷たくて気持ちよくて、キラキラと太陽を反射する水面に見とれてしまう。
風に飛ばされそうになる帽子を手で押さえながら、子供みたいに海と遊んだ。


一通り満足した後、今日の目的のレストランに向かった。
水平線と並行に砂浜を10分ほど歩くと、見えてきた。
浜辺にポツンと置かれた、使われなくなった電車。
ここがそのレストラン。


車両内に入ると、店主である女性が出迎えてくれた。
1人であることを伝えると、「お好きな席にどうぞ」と言われる。
車両内には、ボックス席の椅子と椅子の間にテーブルが置かれた席が10席程度あった。
私は何となく、列車の中央らへんの席に座った。
平日の14時という時間帯のせいか、客は私しかいなかった。

無題(仮):前編

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彼氏いんのかよ・・・
心の中でそう悪態をつく。

目の前の彼女は、実に軽やかに、事もなげに彼氏との週末デートルーティンをベラベラと話してくる。
もうやめたい。ちょっと好みの女性を見ると勝手に気分が浮足立って、彼氏がいると知った途端に勝手にガッカリすんの。
もうしばらくは恋愛しないって決めたのに、職場でちょっとタイプの子がいると無意識のうちにテンションが上がる。
そして無意識で彼氏がいないことを願ってしまう。そんな自分に辟易する。


やば。職場でこんな女漁り。ちょっとお腹減ってるからかなぁこんなイライラするの。
あー朝コーヒーだけだったしなぁ。
そう思い、デスクにいつも置いているプロテインバーを取り出す。
残業が当たり前の労働環境のせいか、休憩時間じゃなくとも勤務時間内にデスクで軽食をとることは黙認されている。
まぁその分いつ休憩とれるか分からないことが多いんだけど。


私がプロテインバーにかじりついてる間にも、彼氏と今度同棲しようか迷ってるとか、そんなことを延々と話し続けている。
恋愛対象外であることを突き付けられる辛さとは違う。そもそも私が彼女にとって恋愛対象外が恋愛対象内かジャッジするにも値しない、恋愛対象外であることが前提で話を進められる辛さ。どこに行っても体験してきた。最早この感慨に愛着すらある。
自分の目の前にいるのがまさか狼だなんて微塵も思ってない羊、みたいな。私を、彼女と同じ羊だと思って警戒を全くしないこの感じ。いい加減慣れてきた。


適当に相槌を打ちながら、彼女のことを観察する。
当たり障りのない栗色の艶のあるロングヘア。
ブラウンのタートルネックに華奢なシルバーネックレス、
ボトムスはグレンチェックのタイトスカートでまとまりが良い。
それでいてアクセントとしてシルバーのパンプスを履いている。
私は彼女のそこが良いなと思った。
私はいつも、ファッションセンスが変わってる人とばかり付き合う。
いやむしろファッションセンスが変わってる人とじゃないと付き合えない。
普通であろうとする努力の中の自己主張に弱いのだ。


ファッションだけでなく、顔も美人だ。
小さい頭に大きい目、化粧も薄くて清楚なお姉さんという印象だ。
これは大層男受けが良いことだろう。
私とは大違いだ。

冬の朝

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足の冷たさと寒さで目が覚める。
朝の静謐な空気を鼻腔いっぱいに吸い込む。
冷たさと共に心地よさが胸に広がってきた。


卸したての真っ白なシーツを広げるときのような、清潔な気配。


雪に侵されたこの街に生まれて14年。
もうずっと、冬の朝はこうやって過ごしてきた。


雪はすべての音を吸収してしまう。まるで物音を許さないみたいに。雪が街を支配するみたいに。
静寂の中で唯一許された除雪車のゴォーという音が、窓の外から聞こえる。
寒いけれど開けてみる。
まだ5時だと言うのに、除雪車に乗って働いてる人がいるんだ。
もう見慣れた光景なのに、そんなことに少し感動する。


ああ、この街中の人がみんな幸せになったらいいな。

没:逃避

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洗面所で化粧を落とし、まさに今シャワーを浴びようかというタイミングでインターフォンがなった。
体裁を整えて慌てて出ると宅配だった。
以前クレジットカードのポイントで交換していたアイスが届いたのだ。
まさかのタイミング!と思いつつ、まずは冷凍庫にアイスを入れてシャワーを浴びることにした(ここでアイスを先に食べなかった私を褒めたい)。

シャワーを終えると真っ先にアイスに飛びついた。
私が頼んだのは十勝橋本牧場プレミアムソフト というアイスで、希少なブラウンスイス牛の生乳を使用した乳脂肪15%以上の濃厚なプレミアムソフトとのこと。
一口食べてみると、濃厚なミルクの風味が口いっぱいに広がる。なんとも贅沢だ。
交換するには4000ポイント必要で、そこそこハードルが高い商品と言える。
普段なら絶対に買えないアイテムを手にできる、冒険できるのがクレジットカードのポイントを貯める楽しみの一つでもある。

まだやったことがないが、ふるさと納税も始めてみたい。
節税よりも辺納品目当てだけど。

アイスを食べ幸せに包まれながらネットサーフィンをしていると、なぜか商品が購入できない。
詳細を見てみると、どうもクレジットカードの上限額に達してしまったため停止されたらしい。
幸せから一転、焦燥感が襲ってきた。
まだキャビネットもキャスターもチェストも買えてない!
重くて大きいから車の無い私は通販じゃないと買えない、現金で通販はダルすぎる!どうしよう!
と思ったが、とりあえずその日は寝ることにした。

翌日新たにクレジットカードを作ったのだが、
それが今現在届かず現金でその日暮らしをしているところだ。
収納アイテムが買えず部屋が散らかっていて辛い。
だからいったんアイスを食べて現実逃避する。

カードキー、無くしました

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ない、ない、どこにもない。
ベッドシーツをひっぺ返しても、マットレスをひっくり返しても、ごみ箱をひっくり返してもどこにもない。
ポッケもない、鞄のなかにもない、部屋の中を調べつくしたがどこにもない。
上京5日目、カードキーを無くした。


私はこの日、事務所のホームページに載せる宣伝写真を撮りに行くつもりだった。
朝は7時ごろに起き朝食を済ませた後、洗い物と洗濯をする。
家事を一通り終えた後外出の準備を始めた。


成人式の前撮りなどもそうだが、ちゃんとした写真を撮るときはライトをたく。
ライトをたくと表情が明るく見えたり、シワやシミが光で飛んで肌がきれいに見えたりする。
そこは美点だが、その反面化粧も光で飛んで薄くみえてしまう。
そのため化粧はいつもの2倍近く濃く仕上げていく。
服は流行りを抑えつつも綺麗かつ少しフェミニン、そうありながらもカッチリ見えるツイードのワンピース。
私の一張羅だ。
最後に気合を入れるためにDiorのPURE POISONをふり、完成。


今日の私は気合が入ってるぞ!さぁ撮影に行こう!
そう思って鞄をとったときに気づいた。
カードキーがどこにもない。


私が住んでいる家は鍵が2種類貸与される。
一つは家に入るためのカードキー、もう一つは個室に出入りするための鍵(私はシェアハウスに住んでいる。詳細は過去記事参照)。
家のドアはオートロックなので、外に出るときはカードキーは要らないが中に入るときに必要になる。
カードキーはそれこそ遊戯王カード程度の大きさのため、あまり無くすことは想定されない。
しかし個室の鍵のほうはすごく小さく、人差し指の第一関節ほどしかない。
そのため個室の鍵を無くす可能性があると警戒していた私は、とにかく個室の鍵をなくさないことに常に留意した。
少しでも気を抜くと無くしてしまいそうだったからだ。
しかしカードキーはある程度の大きさがあるので警戒していなかった。
今回はそれが完全に裏目に出た。



私は昔から不注意で物を無くすことが多かった。
そのためそれを自覚し、自分への警戒と注意を人並以上にするようにしてきた。
ここ最近は物を紛失することも少なくなっていたのだが、ここにきてまさかのカードキーの紛失だ。
私はパニックと強いストレスと焦燥感を感じながらも、部屋の中をくまなく探すことにした。
カードキーは家の中に入るときにしか使わない。
現に家には入れているので、カードキーは必ず家の中にあることになる。
私はシェアハウス内では個室とトイレとキッチンとシャワールームしか使わない。


個室以外の部屋を確認したがあるはずもなく、個室を探すことに。
まずはベッド周り。シーツもマットレスもひっぺ返す。
どこにもすき間にもない。
鞄の中も外ポケットも内ポケットもひっくり返したがない。
ゴミ箱も全部ひっくり返したがない。


ああ、これはもう見つからないパターンだ。
小学生のころ親に買ってもらった可愛くてキラキラな彫刻刀と同じく、
小学生のころ親に買ってもらった分度器と同じく、もう見つからない運命なんだ。
部屋の中からなぜか消失して、もう新しいものを買うしかないんだ。


そう諦めた私は、諦めたことによるカタルシスを得るかと思いきやそうではなく、まるで自分が立っている床の底が抜けたかのように一気にどん底の気分になった。
仕事もない、鍵もない、何もない。
そんなどん底の気分を3畳という狭い部屋で味わう。
味わい深すぎる。出汁が出過ぎて渋みを感じる。渋みなんて20余歳の私にまだ要らない。


ほんのちょっとだけ渋みという感傷にひたったあと、宣伝写真の提出が遅れることを事務所の人に伝えた。
少なくとも今日はもう外出できない。


カードキーの再発行を覚悟した私は管理会社に連絡した。
緊急時に一時的にカードキーを貸してもらうができるとのことだったので、翌日取りに行くことにした。
鍵をなくして慌てふためいてどん底の気分になって終わる、という最悪な一日だった。

今回の選挙は行きません

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今回の選挙は行かないことにした。
いや、正確には行けないことになった。

それはなぜか、私の生活がままならず選挙に行く余裕すらないからだ。
詳しくはこの記事を読んでほしいが、私は今無職で上京、かつ初めての一人暮らしという謎の拷問にかけられている(10月下旬に上京したばかり)。
chocolatemonster3552.hatenablog.com

職を探せど探せどマッチングせず、仕事を紹介してくれる仲介業者はどこも土日休みのため求職活動をすることすらできない。
東京で過ごす日数に反比例して万単位で減っていく貯金。
私は中流家庭に生まれたが、これまでお金に困ったことなどなかった。
少なくとも収入が全くなく支出だけが発生する状況になったことなどなかった。
約半年分の生活費は口座にあり今すぐ生活が立ち行かなくなる訳ではなかったが、”支出だけで収入が全くない”という状況そのものが、私には堪えた。

私は元々選挙には何が何でも絶対行く(それこそ白票でも)人間なのだが、今回ばかりはそんな余裕がなかった。
投票に行くのにも運賃がかかる。
たった数百円。それが今の私にはとても出せなかった。

心に余裕があったころは資産運用も検討していて、友人と無料の講習会に行こうねと言っていた。
ところが今は資産運用なんていう言葉も聞きたくないほど、心の余裕がなくなっていた。
資産運用の申し込み書は今トランクで眠っている。しばらくは眠っててもらうことになりそうだ。
ちなみにその友人は白票を投げたらしい。選挙においてもっと優雅な行為なのではないかとすら思う。


生活を良くするための私たちに許された行動が選挙。
それなのに、そもそも生活が一定程度整ってないと選挙に行く余裕すらないというパラドクス(英語のparadoxという綴り的にパラドックスの読みのほうが正しいのだろうが森博嗣信者なので激音は入れません)。
見事に一人で体現してしまった。
世間が、ヤフーニュースのトップページが、誰が当選したやらしないやらと選挙の話で盛り上がっている時に、一人私は三畳で春雨をすする。
社会の縮図が見事に凝縮されている。

無職で上京し3畳で暮らす

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スウェーデンの刑務所

突然だがあなたは、スウェーデンの刑務所がどうなっているかご存じだろうか。

刑務所だから小汚くて薄暗いと思うだろうが、その逆だ。

明るくて清潔で整えられていて、まるでビジネスホテルの一室のようなのだ。残念ながらガチだ。写真を引っ張ってきたかったがフリーで使えるものがなかったのでもし気になった方がいたらぜひともググってほしい(ちなみにネットではスウェーデンの刑務所が綺麗すぎることは有名らしい)。

なぜ唐突にこんな話をしたかというと、私の新居がまるで刑務所かのように思えたからだ。私は今、三畳のシェアハウスに住んでいる。

三畳に生息する人間はそんなに多くないと思うし、三畳という狭さがいかに人を狂わせるのに十分なのか誰かに聞いてほしかったのでこの記事を書くことにした。

ちなみに三畳ってこんな感じ(これは私の部屋ではない)。いかに狭いかが伝わると思う。

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自己紹介

遅ればせながら初めまして。

カトウキヨカと申します。ASlinkprojectという事務所で声優・歌手の玉子をやっています。

つい先日地元のX県から上京し、冒頭でも述べた通り今は三畳のシェアハウスに住んでいます。

このブログでは声優以外のことを多分たくさん書きます(笑)

 

シェアハウスとは?

もしかしたらテラスハウスをイメージする人が多いかもしれないが、私が住んでいるところはあんな感じではない。それぞれ個室があり(三畳のね・・・)、それ以外のキッチン、シャワールーム、洗面所、洗濯機・乾燥機、玄関などを共有するという仕組みだ。

私が住んでいるシェアハウスを運営する会社は、都内都外にいくつものシェアハウスを運営しており、場所によって家賃は様々だが概ね共益費含め5万程度のところが多い。

共益費の中には水道、光熱費、Wi-Fi、電気代等々が含まれている。

また、働いていなくても居住できるところもポイントだ。実際に休職中もよく利用するらしい。

ちなみに住居人との交流は幸か不幸かほぼなく、すれ違う時の挨拶さえもない。

 

 

シェアハウスを選んだ理由

まず一つは「無職だったこと」だ。上京前、物件を探していた私はそれまで勤めていた派遣での仕事をやめ、完全に無職だった。

また東京での住所を獲得しないと仕事を紹介してもらえないシステムだったことも手伝って、私は一刻も早く東京での住所を手に入れることに躍起になった。要は「焦っていた」のだ。

もう一つが「初期費用の節約」だ。これまで一人暮らし自体をしたことがなかった私は、上京の資金に加え一人暮らしのための資金も準備しなければならなかった。

ネットで調べると、上京自体に最低でも50万は用意しないとダメだという記事がいくつも見つかる。そこに加え一人暮らしに必要な家具家電を買いそろえるとなると、明らかに予算オーバーだった。

私が選んだシェアハウスの場合初期費用は5万ほどで済み、なおかつ家具家電もあらかじめついているので一人暮らしビギナーにはとてもありがたかった。

以上の理由から3畳のシェアハウスを新居として選んだ。というかそれしか選択肢がないと、その時自分では感じていた。

もちろん狭いとは思っていたが、どうせ半年程度で引っ越すからその間家具家電に充てるお金を貯めればよいと判断した。

 

シェアハウスを選んで後悔していること

とにかく狭い!これは当たり前なのだが、そのせいで物が増やせない

ミニマリストの方にはこれは悪くないことかもしれないが、私はミニマリストとは対極のいわゆるコレクタータイプの人間で(ミニマリストの対極がコレクターなのかは議論の余地があるが)、物が多いことや所有することに幸福を感じるタイプなのだ。

そのため買おうと思っていた、古びた喫茶店に置かれてるような赤いアンティークのソファや、ガーデンテーブルなどはすべて諦めざるを得なかった。

 

また、服が増やせないのも私にとっては致命的だった。皮肉なことに私は着道楽である。3畳でかつクロゼットもないため、ハンガーにかけなければシワになるたぐいの服を買うと、部屋が服で圧迫されてしまう。そのためこれから買う服はすべて畳める物だけにしようと思っている。

また、ただでさえ狭い三畳という空間にシングルベッドが常に置いてあるので実際に自由にできるスペースは1.5畳程度しかない。そのためとにかく圧迫感がすごい

狭いところが比較的得意で狭いほうが落ち着くという属性の私でも、圧迫感と例えようのない不自由さを感じる。これ、たぶん毎日1ミリずつ精神が削られていってる気がする。多分精神的な拷問として成立する気がする。

 

月5万だったら6畳の部屋とか借りられるよ?

とか言う他人の心無い声に無垢な私のハートは傷つけられる。いや本当に、正論なのだ。キッチンもシャワールームも洗面所も自由にできない。唯一与えられた個室はほぼ牢屋。

節約と引き換えに失った”自由”の大きさを、尊さを肌で感じる。

 

私が出した結論は

部屋ではなく”ホテル”だと思うことにした

三畳となるとホテルのほうが断然広いまであるのだが、部屋ではなくホテルに借りぐらしをしているのだと認識することで何とか精神を保とうとしている。

これからは一刻も早い脱獄を目標とし、半年以内に引っ越しの初期費用を貯める。そして引っ越した暁には服も家具も思い切り私の好きな物を買う。

どうかそれまでお付き合い願います。

 

ここまで読んでくださりありがとうございました。

日記なので特に起承転結のない文章ですが、暇つぶしにでもなれば幸いです。